タイムマシン、それは誰もが一度は考えるであろう夢の道具 タイムマシンを使えば、過去にも未来にも自由に行き来することができる 過去に起きた謎を解明することや、未来の素晴らしい技術を持って帰る事だってできる そんな世紀の大発明が今まさに成されようとしていた 元々プログラマだった博士は、自身の高度なプログラミング技術と、才能溢れるアイディア ひらめきによって、タイムマシンのプロトタイプの開発に成功した 「よし、これで完成だ」 小型の懐中時計のような形をしたそれには、2つのスイッチとダイヤルがついている 過去に行くか、未来に行くかをスイッチで決め、ダイヤルを回した量によって 飛び越える時間を決めるといった仕組みになっている 「さて、試作品にはまずテストをしなければならないな」 博士はそうつぶやくと、自分の腕時計を外してタイムマシンにくくりつけた ダイヤルを未来の1分に決定して起動する 直後にタイムマシンとくくりつけられた腕時計はその場から音もなく姿を消した 成功すれば1分後に再びこの空間にタイムマシンが現れ、くくりつけられている腕時計は 時間を飛び越えるために、1分遅れた状態でここに現れるはずだ 1分後、また音もなくその空間にタイムマシンが現れた 腕時計もしっかり1分遅れた状態になっている 「やった!大成功だ!ついに完成したんだ!」 プロトタイプとはいえ、それは確かに時をこえた 博士は喜び小躍りを始める 「これを使えば、歴史の謎だって解けるし、預言者にだってなれるんだ」 博士の頭の中には子供が描くような様々な夢で溢れかえった ピンポーン 突然、玄関のチャイムが鳴った ドアについているレンズを覗き込むと、そこには博士の友人が立っているのが見えた そこで、博士はある事を思いついた 「そうだ、これを使って数分前に戻って コイツが来るのをあたかも知っていたかのようにしてみせよう、きっと驚くに違いない」 博士はタイムマシンのダイヤルを過去の2分にセットし、スイッチを入れて起動した しかし、タイムマシンには致命的な不具合が残されていた 過去に戻るときに発生するそのバグを、博士はテストで発見できなかった 否、過去に戻ってしまう物をどうやってテストすることができるだろう、物理的に不可能だった 博士の体はタイムマシンとともに、2分前の部屋に戻っていた そして、タイムスリップをする前に起きたとおり、2分後に玄関のチャイムが鳴った 「そうだ、これを使って数分前に戻って コイツが来るのをあたかも知っていたかのようにしてみせよう、きっと驚くに違いない」 博士はタイムマシンのダイヤルを過去の2分にセットし、スイッチを入れて起動した